チビヒメもまもなく1歳4ヶ月。
子育て中の諸先輩から見ればまだまだひよっこ母さんだとは思いますが、
産後まもない頃のキラキラした子育てとは違い、
少しは扱いも手慣れてきていろいろと雑事に悩まされるようになってきました。
産後間もないころは、無事に生まれてきてくれただけで感動で、
小さな手足をバタバタ動かしているだけで
微笑ましくなるような穏やかな子育てをしていたような気がします。
とにかく、目の前のチビヒメのお世話だけが毎日の中心で、
お世話をしているだけでとっても幸せな気分でした。
ところが1歳も越えてしまうと、保育園や幼稚園の問題に、
さらにはその後の進学について今から頭を悩ませたり・・・
発育の具合にヒヤヒヤしたり(歩いたり発語だったり)
・・・と新生児の頃の穏やかな気持ちはだいぶ薄れてきています。
そんな毎日に、新生児育児の頃のような
穏やかでほっこりした気持ちを取り戻させてくれる育児本に出会いました。
母として一番大切なのはどっしりと構えること
人生の大先輩が説く子育ての心構え
ご存じの方もいるかもしれませんが、私はこの本を手に取るまで佐藤初女さんという方を存じ上げませんでした。
「森のイスキア」という場所を運営されていた方です。
誰でも無条件に受け入れ、食事を提供(おむすびが有名みたいです)
そしてみんな心を軽くして再出発していくそうです。
カトリック教会での奉仕活動をなさっていたので、森のイスキアも教会に近い存在なのかもしれませんね。
私はクリスチャンじゃないので詳しくないですけど、そんなイメージです。
さて、そんな活動をしていた佐藤初女さんは1921年生まれの人生の大先輩。
ご自身の育児の経験や、これまでの活動で培ってきた「子育て」に関することをまとめた一冊です。
おばあちゃんの書く育児本というと「久保田カヨ子」を思い出しますが、内容は全く違います。
あくまでも穏やかな1冊です。
いくつか良いと思った内容をピックアップします。
食の大切さ
本の3分の1くらいは食の大切さについて書かれています。
とにかく衣食住の中でも「食」がしっかりしていれば人間はしっかり育つという考えです。
育児に限らず、大人もしっかりした食事をとることで、頭もさえ調子も良くなるというのです。
ついつい、コンビニや外食で済ませがちですが、一食一食を疎かにせずしっかりと味わいましょう・・・というのです。
理想ではありますが、共働き家庭などでバタバタしていると、ついつい手を抜きがちになるのが「食事」ですよね。
ただ、そのせいで「手抜き料理→おいしくない→子どもが食べない」という悪循環につながると、
栄養バランスの偏ったコンビニ食などで育ってしまい
ふわふわした子どもになってしまうというのも避けたいことです。
産休に入って、仕事から開放された一時期、きちんとしたお料理に夢中になりました。
特別、贅沢な生活をしていたつもりはありません。
それでも、食事に手をかけると生活の質が上がったように感じて、毎日の満足度というか幸福度も上がったような気がしました。
産休中に限らず、仕事が一段落した週末に手をかけたお料理をした日なんかも、満足度が高かったように思います。
自分自身の経験と本能でもわかっていたはずなのに、本を読んで改めて食について考えさせられました。
時計じゃなくて子どもを見る
時間に追われているような毎日ですが、せかせかしてはいけません。
本の中で印象的だったのは時間で区切らず赤ちゃんの要求にこたえようということ。
新生児の頃、3時間おきの授乳と指導を受けますが
いずれ欲しがったら上げるスタイルに変わっていきますよね。
にも関わらず、真面目な方ほど3時間授乳を難くなに守りがちです。
実際には早くお腹が空く子もいれば、燃費の良いタイプの子もいます。
まさに時計ではなく赤ちゃんを見て、お世話をしなくてはいけないのです。
幼児になっても、それ以降も同じです。
何でもかんでも「早く早く」と急かさずに、その子のタイミングで物事はすすめます。
ゆっくりと見守ることで子ども自身で考える力を身につけることも大切なのです。
ついつい早く歩いてほしいとか、
早く2語文をマスターして欲しいとか
期待をかけてしまいますが、本人が楽しく挑戦するのを根気よく待つのも親の役目なのですね。
同じようなことで、「手をかけすぎると子どもの自立心を阻みます」という章もありました。
お世話を焼くほうが見守るよりも簡単だから
ついつい手が出てしまいますよね(^_^;)
親の忍耐力が試されてますね。
子どもばかりじゃなくて自分も大切
この本を読み終えると、目に見えない透明の糸で頭のてっぺんから引っ張られるような感覚になります。
自分で力をこめているのではなく、すっと背筋がのびるような感覚です。
とにかく、子育て=子供中心となりがちな毎日から、
少し自分自身へも目を向けたくなる本でした。
- 母親自身の生活が規則正しい
- 食事もしっかりとっている
- いつも穏やか
- 子どもの話を「ながら聞き」しない
- 最後まで腰をおらずに聞いて受け入れる
こんな「大きな母」のような存在が理想的だなぁと思いました。
そんな存在になれるだろうか?と不安になりますが、
子どもの成長とともに、私もこんな母親像になっていけたらなぁと背筋を伸ばして読み終えたのです。
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手元に置いておいて、折に触れて読み返したい
仕事を再開したりすると毎日が大忙しです。
自宅で過ごす朝起きてからのバタバタの準備に、帰宅後のバタバタの夕食。
一息つく頃には睡魔も襲ってくるような日々。
そんな生活の中で、どっしりとかまえて子どもの欲求に答えてあげられるだろうか?と不安になります。
理想どおり100点満点とはいかなくても、
ふと思い出して読み返して、駆け足な毎日の足を休ませたくなる本でした。
最後に、この本を読めば読むほど「森のイスキア」が魅力的な場所に感じられて、
初女さんに会ってみたいという気持ちに駆られました。
調べてみると、なんと初女さんは今年の2月に亡くなられていました(;_;)。
この本は2015年12月に出版された本なので遺作になってしまいました。
(ですよね?他にも出版してるのかしら?)
ニュース記事によると乳がんで亡くなられたそうなので、
この本の出版準備中は闘病中だったのかもしれません。
そう思って読むとさらに背筋が伸びます。
初女さんのような偉大な母にはなれないかもしれませんが、
寛容に受け入れることのできる、落ち着いた魅力的な女性になりたいと強く思いました。
森のイスキア同様、前向きに明日からを過ごせそうな読後感の1冊でした。