
刺激的なタイトル「格差が遺伝する!子どもの下流化を防ぐには」を読んでみました。
著者は「下流社会」がヒットした三浦展さん。
2007年の本なので、実に10年前の内容になります。
古い資料が元になっているので少し今とは事情が異なるかもしれませんが、軽い気持ちで読んでみました。
なるほどなぁと納得する部分もあれば、ちょっと偏ってるかな?と感じる部分もあって・・・
子育てをしている当事者として読むことで内容への当事者感が違うものだなと実感しました。
子どもの成績と両親の因果関係
本書はアンケートの集計本
両親の○○と子どもを比較する形で「格差が遺伝する」というタイトルにつなげています。
書かれている内容の根拠になっているのはアンケートによるものです。
客観的に観測した学識的な研究結果ではありません。
雑誌の読者のコーナーを読んでいる感覚で楽しむには良い内容です。
例えば、子どもの成績が良いかどうかはアンケートに答えた母親が自己評価したものだったりします。
親の経済力と子どもの学力の関係
結論から言うと経済力があるほうが学力が高い。
ということになっているのですが・・・。
実際にテストをさせたわけではないので事実は不明です。
(母親へのアンケートの学力の有無は自己申告によるもの)
きちんと、統一テストを受けてテストの結果が集約できてたら面白い調査になったんでしょうけどねぇ。
このアンケートから読み解けるのは、経済力があり子どもへの教育意識の高い家庭は、
子どもにかけた教育費分の成果が出ていると信じたがっている。
ということじゃないでしょうか。
食事と子どもの学力の関係
経済力に続いてこちらもアンケートが元データなので・・・って感じですが
結論は手作り食事の家庭ほど成績が良くなるということらしいです。
まぁ、これまで読んだ子育て本でも、家庭料理の大切さは説かれているし、
乳幼児期には脳の形成にも影響するから栄養バランスは大切だとか
化学調味料は避けるべきというのは、一般論として正しいかと思います。
ただ、家庭料理=優秀児・コンビニや惣菜=劣等児というのは短絡的すぎるかなと思いますね。
専業主婦で手の込んだ手作り家庭料理で育っても残念な学力に終わる子はいるし
共働きでスーパーの惣菜も食卓に並ぶ家庭でも、優秀な子どもはいます。
もちろんチビヒメには、出来る限り愛情込めて手作りのご飯を食べさせてあげたいです。
でもそれ以上に、出来合いの惣菜が混じっても楽しく家族揃って食卓を囲むほうが大切なのかもしれませんね。
母親と子どもの学力の関係
経済力があり母親が高学歴であるほど中学受験させる
これはアンケートだけで読み解きやすい内容だとは思うんですけど、なんかちょっと偏ってるんですよね。
著者が子どもを受験させたからなのか?
「受験をする方が良い」という意見前提で、アンケート結果の解説を書いているのがちょっとひっかかります。
特に受験をしない親(経済的にできない親とあえて受験をしない親をひとまとめにして)のことを
自分の世界に閉じこもったり、人との交渉を避けたり、今のことだけ考えて生きていたいという人のようである。
と決めつけているのはいかがなものかな・・・と。
アンケートは東京・神奈川・千葉・埼玉の4県らしいですが、
そのすべての地域の私立中学への進学率などを踏まえた上で調査するべきじゃないのかなぁと思いました。
私の育った田舎では、私立中学を受験するのは100人中1人くらいの地域で、
99%くらいの生徒がそのまま公立中学に進学していました。
そんな地域ですが親の所得も学歴も考え方もバラバラだったはずです。
公立中学への進学をさせるだけで、この一括りはちょっと乱暴かなぁ・・・
ドラえもんに出てくる母親像に分類
最後に、世間の母親をドラえもんに出てくる母親4人に分類するところが面白かったです。
- のび太の母親
- スネオの母親
- ジャイアンの母親
- しずかちゃんの母親
もちろん、しずかちゃんの母親がいちばん良い例として掲げられています。
でも、しずかちゃんの母親ってなんか影が薄いっていうか・・・
あんまり出番が無いからイメージ湧きませんね。
でもたしかにこの4人だったら、しずかちゃんがいちばん成績優秀児ですもんね。
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ママ友との話の種に読む本
タイトルにある、「子どもの下流化を防ぐには」。
この問へのアンサーはこの本からは読み取れません。
巻末に、三浦さんの教育に対する思いが書かれていますが、10年前という古さもありますのであんまり参考にはなりません。
このあたりを期待して読むとちょっと期待はずれに終わりますね。
話題の本を、暇つぶしにサラッと読むには良い本です。
ママ友との話の種くらいにはなりますが、参考にして子育てをするような本ではないと思いました。
格差が遺伝するかというと、そこそこ遺伝すると思います。
ただし格差というのは、経済格差ではなく、内面の格差ですね。
このあたりは下流社会で三浦さんも説いていたようです。
(下流社会よんだはずなのに、ちょっと覚えてないもので・・・)
どんな状況においても前向きに取り組み、問題を解決する活力のようなものがあるかないかです。
そういうものがなくて、ダラダラと過ごす家庭で育てば、子どももそれ以上に育つことは稀だと思います。
かと言って、親が意識高い系過ぎるのも子どもに悪影響だとは思いますが・・・。
結局、どんな本を読んでも最終的に思うのは
「親は子どもを常に見守り、必要としているものを良きタイミングで差し伸べられる存在でいること」
がいちばん重要なんだなということです。
その上で、経済力はあればあったで良いですよね。
無ければ無いなりにアイデアを出すことで、その姿を見て子どもも学ぶと思うのです。
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